歴史的・地域的に見て人との関わり合いのない森林は存在しない。従来から人と森との関係は切っても切れない関係で結ばれ、人と森の関係を表す言葉として奥山林と里山林が使われてきた。その中でも里山林はその地域の人の生活により近い存在として歴史的に位置づけられてきた。しかしながら、その関係が近年希薄になり、消失しつつある。従来の奥山林と里山林の利用、利用が減った(アンダーユース)場合の生態系の変化、将来に向けた解決の方策などを解説する。大久保達弘(農学部 教授)
このページは、「流域圏の里山科学」の講義を担当する宇都宮大学教員によって運営されています。 我が国で伝統的に維持管理されてきた里山が、持続可能な発展を実現するための日本モデルとして改めて注目されています。しかし一方で、農業のグローバル化、農林水産業の近代化、農業従事者の高齢化等によって、里山と人の共生を可能にしてきた先人の知恵の継承はますます困難になりつつあります。本講義は、宇都宮大学農学部と国連大学高等研究所の研究協力によって発足した、那珂川流域圏の里山を対象とした研究プロジェクト、「国連ミレニアム生態系評価・サブグローバルアセスメント」を契機として開講されるものです。講義では、研究プロジェクトを通じて得られた知見を基に、里山の現状と将来あるべき姿について、科学的なアプローチによって示すことを目標にしています。