第9週 6月16日 里山と水

現代の農業活動は自然環境へ大きなインパクトを与えています。特に、流域圏の水やそれとともに輸送される物質は、流域を人間に例えると血液のような存在なので、その劣化は住民や流域に棲む生物に多大な影響を与えることが予想されています。そのため、陸域から海域までを含めた水・物質動態をとらえ、環境保全型農業を取り入れた自然共生型の流域圏の創出を目指す必要があります。そこで,本講義では,このような流域圏の水・物質循環の劣化が原因となって生じている沖縄地方の「赤土(あかつち)流出問題」を話題として提供します。沖縄のサンゴは貴重な生物資源だけではなく、観光資源としても重大な役割を持っています。しかし、近年、人間活動によってそのサンゴは死滅寸前のところまで追いやられています。サンゴ礁を取り巻く水環境問題とその対処方法に関する最新の研究成果を紹介します。大澤和敏(農学部 准教授)